その起源は禁酒法廃止直後の遡る、古い歴史を持つメリーヴェール・ヴィンヤーズ(現在はメリーヴェール・ファミリー・オブ・ワインズと名乗りますが)。そのメリーヴェールから統括ワインメーカーのジェフ・クロード氏が初来日しました。
(メリーヴェールを語るには長いお話が必要です。ここでは省略して。下記のリンクからご覧ください。)
1983年にビル・ハーランがハーラン・エステート創業のためにセントヘレナの古いワイナリー(1933年創業)を購入。ビル・ハーランはナパ・ヴァレー全域を調査しました。そしてナパの最上の畑を見つけ出し、メリーヴェールの名前でワインを作り出しました(ハーラン・エステートの予行練習ですね)。1991年にスイス出身のジャック・シュラッターがパートナーとして参入。ビル・ハーランはハーラン・エステート創業後メリーヴェール売却。1996年からはシュラッター・ファミリーの単独所有になり、エステート・ヴィンヤードを構え、新生メリーヴェールが誕生しました。現在メリーヴェールは4つのブランドを所有します。
ジェフ・クロード氏はアラスカ出身。UC デイヴィスで経済学の博士号を取得しましたが、ワインに魅せられ、2007年にスターモントに入社。以後メリーヴェールひとすじです。ジェフ・クロード氏からメリーヴェールの歴史のお話がありました。そしてエステート・ヴィンヤードと4つのブランドのお話がありました。
テイスティングはこちらです。(価格は輸入元上代税抜き価格です。)
- Merryvale -
Merryvale Sauvignon Blanc Napa Valley 2022
★メリーヴェール ソーヴィニヨン・ブラン ナパ・ヴァレー 2022 ¥6,800
Profile “Silhouette” Shardonnay Carneros Napa Valley 2020
★プロファイル ”シルエット” シャルドネ カーネロス ナパ・ヴァレー 2020 ¥14,000
Merryvale Pinot Noir Carneros Napa Valley 2018
★メリーヴェール ピノ・ノワール カーネロス ナパ・ヴァレー 2018 ¥7,400
Merryvale Cabernet Sauvignon Napa Valley 2017
★メリーヴェール カベルネ・ソーヴィニヨン ナパ・ヴァレー 2017 ¥13,000
Profile Red Wine Napa Valley 2018
★プロファイル レッドワイン ナパ・ヴァレー 2018 新ラベル ¥34,000
Profile Red Wine Napa Valley 2010
★プロファイル レッドワイン ナパ・ヴァレー 2010 旧ラベル ¥45,000
メリーヴェール・ファミリー・オブ・ワインズは家族経営ワイナリーです。スイス出身のジャック・シュラッターが1996年に全権を取得。現在2代目のルネ・シュラッターが受け継いでいます。ワイナリーはセントヘレナの町の入口に位置します(Sulphur Creek の手前)。現在メリーヴェールは4つのブランド、Merryvale メリーヴェール、Profile プロファイル、Starmont スターモント、Forward Kidd フォワード・キッドを所有します。
主力となるメリーヴェール・ヴィンヤーズは、ナパ・ヴァレー各地の厳選した栽培農家と契約を結び造り出す、テロワールを重視したワインです。メリーヴェールの2022年ソーヴィニヨン・ブランはホープ・ヴァレーとヨントヴィルの2つの畑から。共に昼夜の寒暖差が大きい、冷涼地の地域の畑です。フランス産のシガーバレル(320L)とパンチョン(500L)そしてコンクリートタンクで醸造。柑橘系のフレッシュで華やかなアロマ。クリーミーな口当たりが印象的です。プロファイル・コレクションは、ビル・ハーランが1983年に造り出して以来のメリーヴェール伝統のアイコニックワインです。シルエット・シャルドネは1993年がファースト・ヴィンテージ。シュラッター・ファミリーの単独所有になり、2019年からはカーネロスの自社畑スタンリー・ランチからシルエット・シャルドネを造り出しています。2020年シルエット・シャルドネはスタンリー・ランチのブロック A2 のみから。全房プレス。ステンレスタンクで果汁を落ち着かせ、その後フレンチオークで澱引きし、天然酵母で発酵。穏やかなバトナージュ。自然なマロラクティック発酵。50%新樽で18ヶ月熟成。洋梨のアロマ。トロリとした濃縮した果実味。リッチな味わいですが、樽の風味が前面に出ない(強く出ない)ふくよかな味わいです。ラベルに2代目のルネとローレンスの横顔が描かれています。メリーヴェールの2018年ピノ・ノワールはカーネロスのスタンリー・ランチ(自社畑)、ブラウン・ランチ、リー・ヴィンヤードから。スタンリー・ランチからは 667、ブラウンランチからは Pommard、リー・ヴィンヤードからは Swan を選びました。除梗。5日間のコールドソーク(低温浸漬)。ステンレスタンクで発酵。フレンチオーク(30%新樽)で11ヶ月熟成。アンフィルターそしてアンファインでボトリング。ブラックチェリーのアロマ。森の下草やアーシーなニュアンス。赤黒系の果実味ですが、軽やかで繊細な味わいです。2017年カベルネ・ソーヴィニヨンはアトラス・ピーク及びセントヘレナのいくつかの畑から。畑ごとに小さなタンクで5日間のコールドソーク後に天然酵母で発酵。ポンプオーバーを繰り返し色素やタンニンを引き出す。フレンチオーク(50%新樽)で22ヶ月熟成。アンフィルターそしてアンファインでボトリング。85%カベルネ・ソーヴィニヨン、10%カベルネ・フラン、5%メルローです。プラム、ブラックチェリーのアロマ。凝縮した赤黒系の果実味ですが、穏やかで落ち着いた雰囲気を持ちます。一般的にイメージするいわゆるナパのカベルネとは違い、クラシカルなカベルネ・ソーヴィニヨンです。
そしてプロファイル・コレクションのレッドワインです。プロファイル・コレクションは、ビル・ハーランが1983年に造り出して以来のメリーヴェール伝統のアイコニックワインです。プロファイルはナパ・ヴァレーの最上級の畑のカベルネ・ソーヴィニヨンから作り出されました。1996年からメリーヴェールはシュラッター・ファミリーの単独所有になり、1997年にシュラッター・ファミリーはセントヘレナの東の尾根の標高300mの畑を購入しました。近辺には、ボンドのクエラ、スローン、ジョセフ・フェルプスの畑が位置するという、絶好のロケーションにあります。この畑を、ミシェル・ロラン、ボブ・レヴィ、デヴィッド・エイブリューにより一から作り直し改植しました。10haの17の区画の畑です。プロファイル・エステート・ヴィンヤードの誕生です。2018年プロファイル・レッドワインは、82%カベルネ・ソーヴィニヨン、17%カベルネ・フラン、1%プティ・ヴェルドです。除梗、選果で最良の粒を選びます。5日間のコールドソーク後15~20日間のマセラシオン。樽にてマロラクティック発酵。フレンチオーク(80%新樽)で21ヶ月熟成。アンフィルターそしてアンファインにてボトリング。ブルーベリーなどの黒系果実のアロマ。シナモン、ナツメグ、クローブのニュアンスが印象的です。フルボディですが、ハードな印象はなく、バランスがとれエレガントです。2018年にジェブ・ダナックが96点を、ワイン・スペクテーター誌が95点を付けました。ラベルに2代目のルネとローレンスの横顔が描かれています。特別に蔵出しとなった2010年プロファイル・レッドワインは、最後の旧ラベルのヴィンテージワインで、最初の100%エステート・ヴィンヤードからのヴィンテージワインです。92%カベルネ・ソーヴィニヨン、8%プティ・ヴェルドで、フレンチオーク(100%新樽)で22ヶ月熟成。デザートワイン?を思わせるような優しくふくよかな味わいです。果実味は十分若々しく、まだまだ熟成が期待できそうです。
ジェフさんのテイスティングコメントの中に「落ち着いた風味、雰囲気」という言葉がよく出てきました。今のメリーヴェールのワインは強い抽出を感じさせない、なにかほっとさせる味わいなのです。トップ・キュヴェの今のプロファイルは、2千年前後のプロファイルを知る方にはまるで別物のワインに感じると思います(苦笑)。オーナーがスイス出身ということで、オーナー一族がヨーロッパ的風味を好んでいることも1つの要因のようです。
スターモントは、メリーヴェールの3人の創業者の名前から命名されたワインです。ノースコーストの(メンドシーノからモントレーあたりの)買い付け葡萄から造られるワインです。テロワールとヴィンテージを表すことを目的としています。良心的価格のセカンドワインという感じでしょうか。フォワード・キッドは、ナパの100以上ある土壌にちなんで命名されたワインです。Forward はシルト、 砂、砂利の複合砂質ロームを、Kidd は流紋岩などが風化した土壌を意味します。ボルドー品種以外の葡萄を使用した、ユニークでモダンなレッドブレンドワインです。例えば、プティ・シラー、プティ・ヴェルドなどから造られます。
セミナーが終わりご挨拶に。「何度かナパ・ヴァレーを訪問していますが、メリーヴェールは訪問していません。」「次は是非(苦笑)。」「私のシャツにあなたのサインが欲しいのですが。」「シャツに?(苦笑)」「ジャイアンツです。全てワイナリーのオーナーやワインメーカーのサインです。」「凄いね。」「ご近所の、スポッツウッドのベス・ノバックさんとホールのキャサリン・ホールさんの間のここはどうですか?」「いいね。」(サインは画像上部中央です)
ちなみに野球に興味あるのか、ジャイアンツのファンなのか、聞くの忘れました(苦笑)。最後に「個人的に好きな品種はなんですか?」と尋ねました。答えは。。。
#Merryvale Family of Wines
#Merryvale Vineyards
#Profile Red Wine
#Napa Valley
【数年前に日本市場に姿を見せたのですが・・・この度また輸入元が移行しました・・・】(2021年6月6日)