またまたサシさんが来日しました!(ドメーヌ・ド・ラ・コート、サンディ、イヴニング・ランド)

サンタ・バーバラ・カウンティの「サンディ」「ドメーヌ・ド・ラ・コート」のワインメーカーで、ニュー・カリフォルニアワインを牽引するワインメーカーの1人であるサシ・ムーアマン氏が来日しました。輸入元主催のセミナーに参加しました。

 週末487

サシ・ムーアマンはカリフォルニア生まれの日系2世で(母親が日本人)、本名は武蔵です。彼のキャリアは料理人としてスタート。シェフとしてニューヨークやワシントンで活動していましたが、ワイン造りに興味を持ちカリフォルニアへ。5年間のインターシップとしてサンタ・バーバラの「オハイ・ヴィンヤード」のアダム・トルマックの元でワイン造りを学びました。

そして彼はラジャ・パーと出会います。ラジャ・パーはアメリカ各地で有名なマイケル・ミーナ・グループのワイン・ディレクターを務めた方です(そして IPOB In Pursuit of Balance の発起人でもあります)。ラジャ・パーはサシ・ムーアマンと共にサンタ・バーバラの注目の生産地サンタ・リタ・ヒルズでワインを造り出しました。2人が理想とするワインは、オールドワインを敬うワイン(しっかりと熟成するワイン)と、どこで造られたかを表すワイン(テロワールを表現するワイン)です。

サシ・ムーアマンは現在自身のワイン・コンサルタント会社を運営。ワインメーカー兼共同オーナーとして「Domaine de la Cote ドメーヌ・ド・ラ・コート」「Evening Land イヴニング・ランド(オレゴン)」、ワインメーカーとして「Stolpman ストルプマン」、コンサルティング・ワインメーカーとして「Sandhi サンディ」「Pence Ranch ペンス・ランチ」のワイン造りに参加しています。そして「Piedrasassi ピエドラサッシ」というブランドを持ちます。

本日のテイスティングは、カリフォルニアから「サンディ」「ドメーヌ・ド・ラ・コート」、オレゴンから「イヴニング・ランド」です。サシ・ムーアマン氏からそれぞれのワインのテロワール(土壌など)や醸造のお話がありました。(個々のワイナリーに関しては長い説明が必要ですが、ここでは割愛させていただきます。)

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テイスティングはこちらです・・・(価格は輸入元税抜上代価格です・・・)

Domaine de la Cote “pure” Pinot Noir Sta. Rita Hills 2018
★ドメーヌ・ド・ラ・コート ”ピュア” ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ 2018 ¥6,000
Domaine de la Cote “La Cote” Pinot Noir Sta. Rita Hills 2017
★ドメーヌ・ド・ラ・コート ”ラ・コート” ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ 2017 ¥15,000
Sandhi Sanford & Benedict Vineyard Pinot Noir Sta. Rita Hills 2015
★サンディ サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤード ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ 2015 ¥6,900
Evening Land “La Source” Pinot Noir Seven Springs Vineyard Eola-Amity HIlls 2015
★イヴニング・ランド ”ラ・スルス” セブン・スプリングス・ヴィンヤード ピノ・ノワール エオラ・アミティ・ヒルズ 2015 ¥12,000
Sandhi Sanford & Benedhict Vineyard Chardonnay Sta. Rita Hills 2016
★サンディ サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤード シャルドネ サンタ・リタ・ヒルズ 2016 ¥6,900
Evening Land “La Source” Chardonnay Seven Springs Vineyard Eola-Amity Hills 2016
★イヴニング・ランド ”ラ・スルス” セブン・スプリングス・ヴィンヤード シャルドネ エオラ・アミティ・ヒルズ 2016 ¥12,000
Piedrasassi PS Syrah Santa Barbara County 2017
★ピエドラサッシ ピー・エス  シラー サンタ・バーバラ・カウンティ 2017 ¥4,000
Piedrasassi Rim Rock Vineyard Syrah Arroyo Grande Valley 2016
★ピエドラサッシ リム・ロック・ヴィンヤード シラー アロヨ・グランデ・ヴァレー 2016 ¥7,600

ピノ・ノワールからスタート(ブルゴーニュワインをテイスティングする時にやはりピノ・ノワールからスタートすることがありますが。シャルドネの強い酸の後だとピノ・ノワールの酸が判断できないためです。)。まずはラジャ・パーとサシ・ムーアマンが共同経営する「ドメーヌ・ド・ラ・コート」です。サンタ・バーバラ・カウンティの注目の産地がサンタ・リタ・ヒルズ。ドメーヌ・ド・ラ・コートはそのサンタ・リタ・ヒルズの一番海に近い西の端(冷涼地)にあります。標高200mの丘に6つの自社畑を所有します。特筆すべきは石灰岩を多く含む白亜の土壌です。ピュア・ピノ・ノワールはまさにピュアな味わいのピノ・ノワールです。自社畑のいくつかの区画をブレンド。徐梗。破砕なし。SO2なし。パンチダウンなし。ポンプオーバーなし。ピュアなフルーツをすぐに楽しめるように作られました。華やかな花の香りのするまさにピュアな味わい。可愛いラベルはサシ・ムーアマンのお嬢さんがデザインしました。ドメーヌ・ド・ラ・コートのフラッグシップ的存在のラ・コート・ピノ・ノワールです。丘の頂上に位置する3,8haの畑で、薄い表土の下は珪藻土の真っ白な土壌です。こちらは天然酵母で全房発酵。低温で長い発酵を行う。パンチダウン。ポンプオーバー。フレンチオークで14ヶ月熟成。アンフィルター。人工的な清澄なし。過熟したフルーツ味はなく、エレガントで複雑味を持つ。熟成を楽しみたいワインです。非常に高い評価を受けています。WA93 。VINOUS96+。そしてやはりラジャ・パーと立ち上げた「サンディ」です。ブルゴーニュに例えれば、ドメーヌ・ド・ラ・コートがドメーヌワインであるのに対して、サンディはネゴシアンワインと言えます。サンフォード&ベネディクト・ピノ・ノワールはサンタ・バーバラを語る上で欠かすことのできない伝説的かつ歴史的な畑サンフォード&ベネディクトから(1971年植樹で、自根の葡萄です。)。全房発酵。パンチダウンなし。パンチダウンをすると茎のカリウムと果汁が接触することで酸が落ちてしまうことがあるため。ポンプオーバー。500Lのパンチョン(大樽)で熟成。全房発酵によるかすかな草の香り。赤黒い凝縮した果実味ですが、柔らかいタンニンと心地良い酸がエレガントさを引き出しています。オレゴンのウィラメット・ヴァレーのエオラ・アミティ・ヒルズにあるセブン・スプリング・ヴィンヤードから造り出す「イヴニング・ランド」です。ブルゴーニュ・ムルソーの偉大な造り手で、世界の白ワイン生産者トップ5の1つと言われる「コント・ラフォン」のドミニク・ラフォンが初めて海外で立ち上げたプロジェクトでしたが、現在ラジャ・パーとサシ・ムーアマンが受け継いでいます。葡萄はビオデナミ農法。ラ・スルス・ピノ・ノワールはエステートのセブン・スプリングス・ヴィンヤードの丘の上の区画のみから。全房35%で新樽25%のフレンチオークで熟成。やや薄い色合い。果実味もおとなしく(上品である)、タンニンもやさしさのある(深みのあるというより)ピノ・ノワールです。ここでカリフォルニアとオレゴンの葡萄の特徴についてお話がありました。全体的に見て、カリフォルニアは海洋性土壌で葡萄の育成期が長く、オレゴンは火山性土壌で葡萄の育成期が短い。土壌の違いなどにもより、その味わいの違いは酸の存在(多い少ない)とタンニンの質(ふくよかさとストレートさの質感の違い)に見られる。カリフォルニアではフレッシュな酸が大切で、オレゴンではふくよかなタンニンがフレッシュな酸に繋がる。そしてシャルドネへ。「サンディ」のサンフォード&ベネディクト・シャルドネ(けっして重くないが)カリフォルニアらしいフルーツ味が前面に出ます。レモンやパイナップルの風味。そして心地良い酸に支えられます。余韻に海の潮の風味が。「イヴニング・ランド」のラ・スルス・シャルドネはエステートのセブン・スプリングス・ヴィンヤードの下部の区画から。全房でプレス。パンチョン(大樽)で発酵後12ヶ月熟成。瓶詰め前にステンレスタンクで熟成。シャブリのような火打ち石のアロマ。フルーツ味を控えたドライな果実味。見事なミネラル感。ほのかに還元香のニュアンスがあります。これは悪い還元香ではなく、醸造で必然的に出たものです。ここで還元香についてもお話がありました。そしてシラーに特化したブランドの「ピエドラサッシ」です。ムーアマン夫妻と友人夫妻の2組の夫婦がオーナーです。料理と共に楽しめる冷涼地のシラーがコンセプト。ピー・エス・シラーはサンタ・バーバラのいくつかの畑のブレンド。徐梗。SO2なし。少し収穫を早め、フローラルな香りを引き出します。強く抽出せず、飲みやすいスタイルに仕上げています。ベリーの果実味にスパイスや土の風味が加わります。お手頃価格ですが、アントニオ・ガローニが高い評価をしています。VINOUS94。リム・ロック・ヴィンヤード・シラーはサンタ・バーバラの北の冷涼地アロヨ・グランデ・ヴァレーから。平均樹齢40年の自根の葡萄。100%全房発酵。発酵期間を長くとり優しく抽出。カリフォルニアのシラーにありがちなフルーツ味は前面には出ず、深みのある味わいに仕上がっています。ドライフルーツ、そしてスパイスやハーブの風味。シリアスな造りを心がけ、30~40年楽しめるオールドスタイルのシラーを目指します。VINOUS94。

土壌の特徴を分析理解し、その土地の特徴を表現するワイン。葡萄栽培にも拘り、フルーツ感をあえて?抑えたような、そして酸を活かしたワイン。サシ・ムーアマン氏が造るワインは、具体的な表現ではありませんが、フランスワインの素晴らしい部分とカリフォルニアワインの素晴らしい部分を組み合わせたような、本当に両者のいいとこ取りのワインです。印象的な素晴らしいワインです。(ちなみに、今回は中川ワインとワイン・イン・スタイルの共同セミナーという業界では珍しい試みでした。中川ワインはドメーヌ・ド・ラ・コート、ピエドラサッシを、ワイン・イン・スタイルはサンディ、イヴニング・ランドを取り扱いしています。)

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本日4度目のご対面となりました。席が一番前で、セミナー中サシさんとチラチラ目が合っていました(笑)。良い意味でストイックなワイン造りをするサシさんですが、とても優しい笑顔を見せる方です。2015年 IPOB のメンバー来日の際にサインを頂戴しましたが、残念ながら本当にジャイアンツのファンかどうかはいまだに確認できておりません(苦笑)。

サシ

【久しぶりの入荷です・・・ニュー・カリフォルニアワインを牽引するワインメーカーのサシ・ムーアマンが造るワインです・・・】(12月5日)

 

 

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