サンタ・バーバラ・カウンティのサンタ・リタ・ヒルズを代表するワイナリー「メルヴィル」のチャッド・メルヴィル氏が初来日しました。本日輸入元主催のセミナーに参加してきました。
ソノマで葡萄栽培をしていたロン・メルヴィルはピノ・ノワールの栽培に興味を抱き、1996年サンタ・バーバラのサンタ・リタ・ヒルズに土地を購入しました。ボナコルシ、レーン・タナー、オハイ、ジェファーズなどの一流ワイナリーに葡萄を供給するとともに、「メルヴィル」を立ち上げました。
(サンタ・リタ・ヒルズがAVAとして認可されたのが2001年。この認可に多大な功績を残し、立役者となったのがメルヴィルのオーナーのロン・メルヴィルです。)
ロン・メルヴィルの息子チャッド・メルヴィルはワイナリー立ち上げからヴィンヤードの葡萄栽培に携わりました。また、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、南アフリカで葡萄栽培を研究し、UCデイヴィスで醸造も学びました。立ち上げから長きにわたりワインメーカーを務めたグレッグ・ブリュワーがメルヴィルを去り、チャッド・メルヴィルは昨年からヘッド・ワインメーカーに就任しました。サンタ・リタ・ヒルズを熟知したチャッド・メルヴィルだからこそ造れる、サンタ・リタ・ヒルズのテロワールにフォーカスしたワイン造りを行っています。
メルヴィルは、100%自社畑からのワインです。畑はオーガニック&サスティナブル。非常に密樹で、1本の樹からの収量を制限します。leafing という、日当たりを良くするために非常に多くの葉を落とす栽培は他の畑には見られないものです。畑は120エーカーで、Anna’s、Block M、Donna’s、Sandy’s、Terraces などと名付けられています。ワインは天然酵母で発酵。除梗は年と畑によって変わります。新樽はほとんど使いません。古樽にて10~15ヶ月熟成。アンフィルター&アンファイン。ピノ・ノワールのクローンは16種類です。冷涼な気候の中で生み出された、赤黒系の凝縮した果実味とエレガントさが融合したスタイルです。ファースト・ヴィンテージは1999年です。
チャッド・メルヴィル氏からサンタ・バーバラのテロワール、そしてメルヴィルのヴィンヤードやワイン醸造についてお話がありました。テイスティングはメルヴィルと、チャッド氏自身のブランドのサムサラをテイスティング。同じクローンの土壌による違い、同じクローンの醸造による違いなど、とても興味深いものでした。
Meiville
★2015 Anna’s Pinot Noir Clone114 33%Stems Sandy Loam
★2015 M Block Pinot Noir Clone114 33%Stems Clay
★2015 Sandy’s Pinot Noir Clone37 0%Stems Sand
★2015 Sandy’s Pinot Noir Clone37 100%Stems Sand
SAMsARA
★2013 Cargasacchi Pinot Noir Clone115
★2014 Cargasacchi Pinot Noir Clone115 (Barrel)
★2013 Las Hermanas Clone115 & Pommard
★2014 Las Hermanas Clone115 (Barrel)
★2014 Las Hermanas Pommard (Barrel)
まずはメルヴィル。同じクローン、同じステムでの土壌による違い。サンタ・リタ・ヒルズはかつて海底だったため、砂や粘土の土壌が中心になっています。Anna’s は砂土壌で華やかで女性的な味わい、M は粘土土壌で力強く男性的な味わいです。次は、同じクローン、同じ土壌(同じ畑)での醸造(除梗ありなし)による違い。0%Stems (完全に除梗)は明るく甘くジューシーで、100%Stems (除梗なし)は黒系の果実味で骨格があります。100%Stems はリスクもあり、実践しているワイナリーはあまり多くありません。ブロックにより熟成の度合いが違うので、ブロックにより除梗あり除梗なしとなります。そしてブロックごとに別々に醸造し樽熟成されます。サムサラは、チャッド&メリー夫妻が2002年に立ち上げたブランドです。メルヴィルが100%自社畑の葡萄で造られるのに対して、サムサラは契約栽培者からの買い付け葡萄で造られます。単一畑の葡萄ですが、畑の特定の場所から超微気候や特定クローンを指定して少量生産します。造るワインはピノ・ノワールとシラーです。サムサラは土壌による違いをテイスティングしました。ワイナリーの南に位置するサンタ・バーバラの銘醸畑 Cargasacchi とLas Hermanas です。カーガサキは砂土壌で華やかさと力強さが共有します。ハーマナスは粘土土壌で重みや骨格を感じさせます。カーガサキは同じクローンのヴィンテージ違いをテイスティング。2013年は40%ホールクラスター、2014年は70%ホールクラスターで、どちらもしっかりとしたダークフルーツの味わいがあります(14年のほうがよりパワフルかなと)。ハーマナスはクローン違いをテイスティングしました。クローン115はディジョン系のクローンで、ピノ・ノワールではお馴染みのクローンです。115だけでも濃縮感のある完成度が高いワインとなりそうですが、ポマールとブレンドすることで華やかさが加わりバランスのとれた味わいになっています。サムサラは自然酵母で発酵後、約2年の樽熟成。アンフィルター&アンファイン。リリースまで瓶熟成します。香りを大切にしたいワインとチャッドさんはコメントしました。今回のテイスティングはワイナリーへ行ってもなかなか経験できない貴重でユニークなテイスティングでした。
チャッドさんと・・・ | |
袖口にチャッドさん・・・2つ下にグレッグさん・・・ | |
セミナー開始前チャッドさんは準備で忙しかったようでちょっとだけのご挨拶。輸入元から私の情報がばれていたようで(ジャイアンツとウサギが好き・・・笑)、セミナー終了後すぐにサイン頂戴しました。「ジャイアンツのファンですか」と訊ねると「もちろん」とのお答え(喜)。同じサンタ・バーバラのジムさん(オー・ボン・クリマ)、アダムさん(オハイ)、ラジャさん(サンディ)のサインを見て笑い、メリー・エドワーズさんのサインを見て感心してました(さすがピノ生産者!)。サインは先週来日していた、長きにわたりメルヴィルのワインメーカーを務めたグレッグさんのそばに。。。