非常に繊細な味わいです。中村倫久さんが造る「ノリア(ナカムラ・セラーズ)」です。中村さんが里帰りしました。輸入元主催のセミナーが開催されました。中村さんがワインを造り始めて10年以上になりますが、公式なセミナーは今回が初めてになります。
まずは中村さんから、ワインとの出会いや、ホテル勤務時代、そしてサンフランシスコ赴任時代、と今までのご自身のお話がありました。要所要所にいろいろととても面白いお話がありました。
中村倫久さんはケータリング・マネージャーとしてホテル日航サンフランシスコに赴任。それが全ての始まりです。中村さんは東京生まれの東京育ち。叔父様が西麻布でレストランをされていたので、なんとなく(苦笑)飲食業に興味を持ち、大学卒業後ホテル日航東京に就職しました。ちなみに中村さんのお父様はショコラティエでお母様は料理人でした。イタリア旅行の際に1981年のバルバレスコに魅了され、ワインにも興味を持っていたので、ホテル日航時代にソムリエの資格を取得しました。そしてサンフランシスコへ。最初は全くカリフォルニアワインに興味がなかったとのことです。好きなイタリアワインを含むオールドワールドのワインの素晴らしさは理解していましたが、カリフォルニアワインを含むニューワールドのワインは総じて美味しくないと思っていました。ある日友人に誘われ、いやいやナパ・ヴァレーのワイナリーのテイスティングに参加しました。なんとその時飲んだシャルドネに衝撃を受けました。黄金の雫。凝縮した果実味。オールドワールドの品格とは正反対ではあるがとても興味を引く味わいだったそうです。それ以後週末はナパ・ヴァレーのワイナリーを訪問するようになりました。だんだんカリフォルニアワインというものがどういうものなのか理解するようになりました。2年の赴任が終わりに近づきました。この先どうしようか。日本に戻り仕事を続けるか。サンフランシスコに残りなにかワインに関連する仕事をしてみようか。ワイナリーでたまにワインメーカーに会うことができました。ワインメーカーに会うたびに必ず「このワインはあなたが造られたのですよね?こういう美味しいワインを造るにはどうしたらよいのですか?」と尋ねたそうです。「学校でワイン造りを学んだんだよ。」
中村さんはサンフランシスコに残ることを決意しました。会社を退職し、UC デイヴィスに入学しました。ワイナリーで仕事をもらい、UC デイヴィスで栽培と醸造を学び、2004年にナパ・ワイン・カンパニーに入社しました。ここでハイジ・バレットら著名なワインメーカーのワインに対する多様なアプローチを目の当たりにしながらいろいろと経験を積みました。トータルで7つのワイナリーで仕事をしましたが、Artesa アルテッサ・ワイナリーでは主任ワインメーカーを務めるまでになりました。その中で「ナカムラ・セラーズ」を立ち上げ、2010年に初の自身のワイン “ノリア“ を造り上げました。ワイン名のノリアはスペイン語で “水車” の意味。水車から連想される水、自然、基本的な生活のエネルギーのイメージは、ワインが持つ要素と重なります、と。水しぶきは日本の花火のようにも見えます。和食に合うワインを目標としました(特にシャルドネは純米大吟醸をモデルにしました)。2022年にアルテッサ・ワイナリーを退職し、自身のワイナリーに専念するようになりました。昨年2023年にバークレーに自身のワイナリーを作り上げました。醸造施設とテイスティングルームを兼ね備えた、今流行のアーバンワイナリー(街中にある都市型ワイナリー)です。
テイスティングはこちらです。(価格は輸入元税抜き上代価格です。)
- Noria Wine -
Sauvignon Blanc Bevill Family Vineyard Russian River Valley 2021
★ソーヴィニヨン・ブラン べヴィル・ファミリー・ヴィンヤード ルシアン・リヴァー・ヴァレー 2021 ¥4,800
Chardonnay Sangiacomo Green Acres Vineyard Sonoma Coast 2022
★シャルドネ サンジャコモ グリーン・エーカー・ヴィンヤード ソノマ・コースト 2022 ¥6,000
Pinot Noir Umino Vineyard Russian River Valley 2021
★ピノ・ノワール ウミノ・ヴィンヤード ルシアン・リヴァー・ヴァレー 2021 ¥9,000
Pinot Noir Sangiacomo Roberts Road Vineyard Sonoma Coast 2022
★ピノ・ノワール サンジャコモ ロバーツ・ロード・ヴィンヤード 2022 ¥7.800
Pinot Noir Brosseau Vineyard Chalone Monterey 2021
★ピノ・ノワール ブロッソー・ヴィンヤード シャローン モントレー 2021 ¥9,000
Pinot Noir Muns Vineyard Santa Cruz Mountains 2022
★ピノ・ノワール マンズ・ヴィンヤード サンタ・クルーズ・マウンテン 2022 ¥9,000
ソーヴィニヨン・ブランは大吟醸がモデルです。爽やかですが味わいがある旨味があるスタイルを目指します。2014年から生産し始めました。葡萄はルシアン・リヴァー・ヴァレー北東部のべヴィル・ヴィンヤードから。97%ソーヴィニヨン・ブラン、3%ゲヴュルツトラミネ―ルです(ゲヴュルツトラミネールはカーネロスから)。100%ソーヴィニヨン・ブランで造り上げたかったのですが、なにか物足りないと思い、いろいろな品種をブレンドしました。結果思いもよらずゲヴュルツトラミネールがドンピシャとなりました。50%ステンレスタンク、50%フランス産旧樽で低温発酵。そのまま熟成し、10ヶ月後にブレンド。エレガントな果実味。軽快かつ奥行きのある味わいです。シャルドネは純米大吟醸がモデルです。まろやかな口当たりながら複雑味を持つ、そしてしっかりとした酸を持つスタイルを目指します。ナカムラ・セラーズ立ち上げの2010年から造り続けています。ルシアン・リヴァー・ヴァレー南東のソノマ・コーストに属するエリアのサンジャコモ・ファミリーが所有するグリーン・エーカー・ヴィンヤードから。100%シャルドネです。3つのブロックから3つのクローン(95、ハイド、ウエンテ)を選択しました。別々に100%全房プレス。フランス産樽にて発酵そして熟成(25%新樽)。樽熟成は10ヶ月。マロラクティック発酵は90%ほど。ライムやアプリコットの果実のアロマにハーブのアロマが加わります。柔軟かつ厚みのある味わい。心地良い余韻が続きます。
ピノ・ノワールも白ワインが持つ大吟醸や純米大吟醸の風味をイメージして造り上げます。ピノ・ノワールはナカムラ・セラーズ立ち上げの2010年から造り続けています。ウミノ・ヴィンヤード・ピノ・ノワールはルシアン・リヴァー・ヴァレー南西部に位置するウミノ・ヴィンヤードから。日系の海野氏が植樹した畑です。ゴールドリッジ土壌。75%ステンレスタンク、25%フランス産新樽で天然酵母で発酵。フランス産樽(50%新樽)で14ヶ月熟成。無濾過そして無清澄。ルシアン・リヴァー・ヴァレーらしい赤黒の果実味ですが、タンニンの抽出を抑え、フレッシュさや透明感を感じさせる味わいに仕上げました。生き生きとした自然な酸が存在します。この2021年がファースト・リリースです。サンジャコモ・グリーン・エーカー・ヴィンヤード・ピノ・ノワールはソノマ・マウンテンの山裾に位置する、サンジャコモ・ファミリーが所有するロバーツ・ロード・ヴィンヤードから。赤みがかった粘土質土壌。75%ステンレスタンク、25%フランス産新樽で天然酵母で発酵。フランス産樽(50%新樽)で14ヶ月熟成。無濾過そして無清澄。イチゴ、チェリーのアロマ。シナモンなども。この地は霧の影響が少なく、日射量が多く、ふくよかになりがちですが、透明感のある果実味と繊細なタンニンに仕上げ、バランスのとれた味わいに仕上がっています。ナカムラ・セラーズ立ち上げの2010年から造り続けています。ブロッソー・ヴィンヤード・ピノ・ノワールはモントレーの奥地のシャローン地区に位置するブロッソー・ヴィンヤードから。有名な Calera カレラが山の反対側にあります。カリフォルニアでは珍しい石灰岩と花崗岩が混じる土壌。75%ステンレスタンク、25%フランス産新樽で天然酵母で発酵。フランス産樽(50%新樽)で14ヶ月熟成。無濾過そして無清澄。ラズベリー、ブルーベリーのアロマ。アーシーな風味。石を思わせるミネラル感。スパイシーな複雑味ときめ細やかなタンニンはこの地独特のものでしょうか。ブルゴーニュファンに受けそうです。2020年がファースト・リリースです。2度目のリリースです。最後に、マンズ・ヴィンヤード・ピノ・ノワールはサンタ・クルーズ・マウンテン南部に位置するマンズ・ヴィンヤードから。この地で最も高所の標高約800mに位置する畑です。昼は十分な日光を浴び、夜は冷え込み、日較差が大きいため十分な酸を維持しつつもしっかり成熟した葡萄が育ちます。クローンは114、115、667、777の王道のディジョンクローンです。オープントップの発酵槽とフレンチオークの新樽で天然酵母で発酵。フランス産樽(40%新樽)で14ヶ月熟成。無濾過そして無清澄。ダークチェリー、ダークベリーのアロマ。ローストしたコーヒー豆。凝縮した(まだ堅い)果実味ですが、心地良い酸と熟したタンニンが溶け込み、優雅で複雑味のある味わいに仕上がりました。長期の熟成が楽しみなワインでもあります。この2022年がファースト・リリースです。ピノ・ノワールは全く同じ醸造で造り上げています。各々のテロワールが明確に表現されていると思います。
中村さんは自分が理想とする味わいやスタイルを明確に持っています。その味わいやスタイルを作り上げるために、品種を選び、クローンを選び、畑を選び、区画を選び、発酵槽を選び、酵母を選び、抽出度合いを選び、熟成樽を選び。理想とする味わいやスタイルのためにひたすら情熱的にアプローチしています。お顔からは想像できないほど(苦笑)、繊細で情熱的な方なのです。
「繊細という日本語は、ニュアンスがあり洗練されていて、促えがたいディティールに満ちている。それは壊れ易いと同時に細部まで行き届いた絶妙なバランスによってのみ達成され人の心に触れることを可能にする。“繊細さ” は本当の意味で日本の食を表現する際に使われる。ノリアのコンセプトは、日本料理に調和する “繊細さ” を持つワインを造ること。(中村倫久)」
セミナーが終わりご挨拶に。中村さんはこの10年はほぼ毎年里帰りしています。その都度ほぼ毎回お会いしています(苦笑)。ということでツーショット写真たくさんあります(大苦笑)。「お話とても面白かったです。勉強になりました。」「いえいえ、こちらこそありがとうございました。」「ではまた写真撮りましょう。」「(苦笑)」
サインはどこだ?(苦笑) | |
ノリさんと (何度目かな。。。苦笑) |
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2012年3月に初めてお会いした時にサイン頂戴しています。ところがどこにサイン書いていただいたか分からなくなりました。2人で探したのですが分かりませんでした。後でゆっくり探します。(苦笑できない)。
#Nakanura Cellars
#Noria Wine #Noria
#中村倫久 さん
【9月中旬から本格的に試飲会が始まりました・・・日本初入荷のワイン、新ヴィンテージのワイン、印象に残ったワインなどのご紹介です・・・】(10月26日)
ブログ【 California Wines ALIVE Tasting 2023 】(2023年2月28日)