冷涼なソノマ・コーストの葡萄からエレガントな味わいのワインを造り出している「レッド・カー」の社長ピーター・ウィルマート氏が来日しました。本日輸入元主催のセミナーに参加しました。
レッド・カーは、マーク・エストリンとキャロル・ケンプによって2000年に設立されました。2人は共にハリウッドで活躍。マークはスクリーン・ライター、キャロルはフィルム・プロデューサーでした。初めてのワインは僅か50ケースのシラー。ロバート・パーカーからいきなり90点を獲得し、鮮烈なデビューを飾りました。(残念ながらマーク・エリストンは病のため2005年に他界しました。)
レッド・カーの意図は単純明快で、誰が飲んでも美味しいワインを造りたいという一心で始まりました。ワインは「BOXCAR」「TROLLEY」「RESERVE」の3つのカテゴリーに分けられ、ユニークなエチケットが印象的でした。エチケットの奇抜さ、生産量の希少さに関して言えばなんといってもやはりシン・クア・ノン。そしてプティ・シン・クア・ノンと言われたのがオリン・スウィフト。オリン・スウィフトと共に次世代ローヌ・レンジャーの筆頭に挙げられたレッド・カーですが、ソノマ・コースト北部に自社畑も購入し、現在は冷涼なソノマ・コーストの葡萄からエレガントなワインを造り出しています。レッド・カーは IPOB (In Pursuit of Balance) のメンバーで、一昨年日本で行われたイベントには創業者でワインメーカーのキャロル・ケンプ氏が来日しました。
社長のピーター・ウィルマート氏からソノマ・コーストのテロワールとレッド・カーのワイン造りについてお話がありました。レッド・カーはソノマ・コースト北部のフォート・ロス・シーヴューに自社畑を所有します。今ソノマ・コーストで最も注目されている生産地です(他にマーカッシン、マルティネリ、フラワーズ、ピーター・マイケルなどがこの地に畑を持ちます)。朝夕には海からの冷たい風と霧が立ち込め、日中は乾いた空気が入り込みます。そして昼夜の寒暖差が葡萄を過熟させることなく熟成させます。葡萄は高い酸を持ち、糖度は高くは上がらず、ゆっくりと育成します。レッド・カーが使用する葡萄はオーガニックまたはバイオダイナミックの葡萄。天然酵母で発酵。新樽はほとんど使わず、古樽で発酵、そして熟成させます。今レッド・カーがワインに求めるものは、バランスのとれたエレガントな味わいです。
テイスティングはこちらです・・・(価格は輸入元税抜き価格です・・・)
Red Car Chardonnay Sonoma Coast 2013
★レッド・カー シャルドネ ソノマ・コースト 2013 ¥5,500
Red Car Hagan Vineyard Chardonnay Sonoma Coast 2013
★レッド・カー ヘイガン・ヴィンヤード シャルドネ ソノマ・コースト 2013 ¥9,500
Red Car Rose of Pinot Noir 2016
★レッド・カー ロゼ・オブ・ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2016 ¥4,000
Red Car Pinot Noir Sonoma Coast 2013
★レッド・カー ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013 ¥6,500
Red Car Platt Vineyard Pinot Noir Sonoma Coast 2012
★レッド・カー プラット・ヴィンヤード ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2012 ¥10,000
Red Car Estate Vineyard Pinot Noir Fort Ross – Seaview 2012
★レッド・カー エステート・ヴィンヤード ピノ・ノワール フォート・ロス・シーヴュー 2012 ¥10,000
Red Car Syrah Sonoma Coast 2012
★レッドカー シラー ソノマ・コースト 2012 ¥5,300
ソノマ・コースト・シャルドネは、オクシデンタル、フリーストーンといった最も冷涼な地区の5つの畑のブレンド。クローンは Old Wente と5 です。低い糖度で収穫。プレス後バレル発酵。フレンチオーク(3%新樽)で12ヶ月熟成。ALC13,7% です。柑橘系果実のピュアな果実味。そして十分なミネラル感。十分なクオリティを持ちます。1960年代初頭からロサンゼルス市内を走った電気トロリーを描いたラベルで有名でしたが、2013年からラベルが変わりました(ちょっと残念です・・・)。ヘイガン・ヴィンヤード・シャルドネは、オクシデンタルの西側に位置する、山の山頂の端にある畑から(近くにはスーマ・ヴィンヤードという歴史ある畑があります)。クローンは Old Wente のみ100%使用。100%ニュートラルのフレンチオークにて18ヶ月熟成。ALC13,9% です。花のアロマ。シトラスなどの柑橘系のアロマ。ふくよかな果実味の中にスパイシーさも感じます。そして僅かなオークの風味も。長い余韻も特徴です。上記がシャブリ・タイプなら、こちらはブルゴーニュ・タイプという感じでしょうか。ロゼ・オブ・ピノ・ノワールは、100%ピノ・ノワールです。バイオダイナミックの畑の葡萄が主体。糖度が上がり過ぎないうちに収穫(Brix 19°)。除梗せずにプレスし、白ワイン同様に醸造。ALC12,7% です。ラズベリーやピンクグレープフルーツのアロマ。甘み(旨み)はありますが、甘くはありません。色合いは薄めのサーモンピンクです。ソノマ・コースト・ピノ・ノワールは、冷涼なフォート・ロス、フリーストーン、オクシデンタルから。レッド・カーのエステートを含む7つの畑のブレンド。クローンは Calera、828、 777、115、Pommard、Schoolhouse です。除梗します。天然酵母で発酵。 フレンチオーク(10%新樽)にて12ヶ月熟成。ALC13,7% です。ラズベリー、クランベリーの華やかなアロマ。ナチュラルな旨みを持つ、エレガントな味わいです。このピノ・ノワールもトロリーを描いたラベルでしたが、この2013年からラベルが変わりました。 プラット・ヴィンヤード・ピノ・ノワールは、レッド・カーの中で最も生産量が少ない、希少なピノ・ノワールです。レミーやリトライなどの超一流の生産者もここの葡萄からワインを造り出しています。海岸線から約3kmの標高の低い場所にある、南西向きの斜面の畑です。密植で、収量を厳しく制限しています。フレンチオーク(20%新樽)にて14ヶ月熟成。ALC13,4% です。赤黒系の果実味。そこにスパイスやハーブの風味が加わり、華やかなアロマと混然一体となった果実味が広がります。そしてエステート・ヴィンヤード・ピノ・ノワールです。キングリッジの北西の角で、標高は約1,000フィート。土壌はゴールドリッジに似た土壌。創業者でワインメーカーのキャロル・ケンプの理想とする畑です。2005年に植樹。クローンは 777、828、Calera が主体です。10%の stem ステム。フレンチオーク(20%新樽)にて15ヶ月熟成。ALC13,8% です。木イチゴやラズベリーの赤系の果実味。ふくよかな味わいの中に爽やかなスパイシーさを持つ、綺麗でエレガントな味わいです。最後にソノマ・コースト・シラーです。レッド・カー最初のワインはシラー。ロバート・パーカーが高得点を付けたように初期は重厚なスタイルでしたが、大きく方向転換し、現在はキャロル・ケンプが本当に造りたかったというエレガントなシラーを実現しています。ソノマ・コースト・シラーは自社畑の葡萄が中心(2005年にピノ・ノワールとシラーを入植しました)。500Lの大樽 Puncheons で12ヶ月熟成。ALC13,5% です。スパイスやハーブの風味を伴う、黒スグリの凝縮した果実味ですが、ほのかな酸が全体を引き締めています。香り豊かで、決して重すぎないシラーです。
セミナー会場に入るとピーターさんが待ち構えていました。先にご挨拶です。輸入元からの情報でピーターさんはカンザス出身と聞いておりました。「ピーターさんはカンザスの出身と聞いております。」(ここでそばにいた知り合いが「彼はジャイアンスのファンですよ」と・・・)「ロイヤルズ知ってるかい?ワールドシリーズのチャンピオンだぜ。」そう来たか(笑)。「ロイヤルズ知ってますけど、私はこのシャツにあなたのサインが欲しいのです。」「オー!ジャイアン!」「Go! Royals と書いても結構ですよ。他にもそんな人いますから(苦笑)。」「ノー!もちろんジャイアンツも愛しているよ!」サインは創業者でワインメーカーのキャロルさんのそばに(2015年 IPOB Japan Tour の時にサイン頂戴しました・・・)。クリントン元大統領の知事時代に報道官を務めたというクレバーなピーターさんですが、ベースボールもかなりお好きなようです(笑)。
ピーターさんと | |
キャロルさんと (2015年4月) |
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左上にピーターさん 左下にキャロルさん |
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【 IPOB Japan Tour 2015 】(2015年4月16日)
【近年非常にエレガントな味わいになっています・・・印象的なラベルのレッド・カーです・・・】(2014年7月24日配信)