ニール・ベルナルディ氏来日!(ダックホーン)

ナパ・ヴァレーにおけるメルロー造りのパイオニアである「ダックホーン・ヴィンヤーズ」。ダックホーン・ワイン・カンパニーの醸造担当副社長ニール・ベルナルディ氏が初来日しました。輸入元主催のセミナーに参加しました。

ダックホーン・ヴィンヤーズは、1976年ダン(ダニエル)&マーガレット・ダックホーン夫妻によって設立されました。78年に初めて葡萄を収穫し、800ケースのカベルネ・ソーヴィニヨンと同じく800ケースのメルローをリリースしました。当時はブレンド用にしか使われていなかったメルローを単独使用したことで注目を浴びました。ダックホーンはナパ・ヴァレーにおけるメルロー造りのパイオニアです。そして昨年ダックホーンはスリー・パームス・ヴィンヤード(自社畑)のメルローで遂にワイン・オブ・ザ・イヤー(WS誌)を獲得しました。

現在ダックホーン・ワイン・カンパニーは6つのブランドを持ちます。「ダックホーン・ヴィンヤーズ(ナパ・ヴァレー)」「パラダックス(ナパ・ヴァレー)」「ゴールデンアイ(アンダーソン・ヴァレー)」「デコイ(ソノマ・カウンティ)」「マイグレーション(ルシアン・リヴァー・ヴァレー)」「キャンバスバック(ワシントン州)」です。6つのブランドにそれぞれワインメーカーを配しているので、6人のワインメーカーがいるということです。6人のワインメーカーはまるでチームのようになって醸造に取り組んでいます。その全体を統括するのがニール・ベルナルディ氏です。

本日のセミナーは、ダックホーン社の6つのブランドのワインとお料理とのマリアージュを検証しようというものです(銀座バーンヤードさんにて)。フード&ワイン・スペシャリストの小枝絵麻女史もセミナーに参加していただき、小枝さんが提案するブリッジ食材について探究しました。小枝絵麻さんはテヘラン生まれのニューヨーク育ち。大学は日本の大学へ通ったようですが、その後ナパ・ヴァレーの CIA グレイストーン校(大学資格を有する料理学校)へ入学し、現地でワインと料理のペアリングの経験を積みました。アメリカ大使館農産物貿易事務所選任シェフを務め、現在ナパ・ヴァレー・ヴィントナーズの駐日代表でもあります。

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ワインはこちらです・・・(価格は輸入元税抜定価です・・・)

Decoy Sauvignon Blanc Sonoma County 2016
★デコイ ソーヴィニヨン・ブラン ソノマ・カウンティ 2016 ¥3,900
Migration Chardonnay Russian River Valley 2014
★マイグレーション シャルドネ ルシアン・リヴァー・ヴァレー 2014 ¥5,000
Goldeneye Pinot Noir Anderson Valley 2015
★ゴールデンアイ ピノ・ノワール アンダーソン・ヴァレー 2015 ¥7,500
CanvasBack Cabernet Sauvignon Red Mountain Washington 2014
★キャンバスバック カベルネ・ソーヴィニョン レッド・マウンテン 2014 ¥5,500
Paraduxx Proprietary Red Wine Napa Valley 2015
★パラダックス プロプライエタリー・レッド・ワイン ナパ・ヴァレー 2015 ¥6,000
Duckhorn Vineyards Merlot Napa Valley 2013
★ダックホーン メルロー ナパ・ヴァレー 2013 ¥7,900

小枝さんが提案するワインと料理のマリアージュはやはり基本的なペアリングがあります。ワインの重さと、食材、調理法、味付けなどによって異なる料理の重さを合わせます。そしてワインのフレーバーと共通するブリッジ食材を加えることでさらにマリアージュを深めます。今日はもちろんワインと相性の良い料理が用意されました。まずはワインと料理のマリアージュを見ます。そしてワインの美味しさをさらに広げると思われるブリッジ食材を加えてマリアージュを見ます。ブリッジ食材には、レモン、ライム、柚子、アーモンド、マスタード、黒胡椒、山椒、セージ・フリット、ワイン・スプレッド、バルサミコ・クリームなどが用意されました。これらのブリッジ食材を加えることで、ワインの味わいや余韻がさらに広がりを見せるのでしょうか。

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まずは、元々ダックホーン・ヴィンヤーズのセカンド的存在のワインとしてスタートしたデコイです。現在は独立したブランドとしてソノマ・カウンティ各地の葡萄から様々な品種のワインを造り出しています。デコイのソーヴィニヨン・ブランに合わせるのはグレープフルーツのシーフードサラダです。ソーヴィニヨン・ブランのフルーツ味と酸はグレープフルーツの甘酸っぱさと合いシーフードとも合います。サラダにブリッジ食材のライム、柚子を加えます。ライムと柚子は香りが引き立ち甘味が加わりワインの余韻を引き伸ばしてくれます。そしてこちらも元々はゴールデンアイのセカンド的存在ワインとしてスタートしたマイグレーションです。こちらも現在は独立したブランドとしてルシアン・リヴァー・ヴァレーの葡萄からシャルドネとピノ・ノワールを造り出しています。マイグレーションのシャルドネに合わせるのはブランタード(魚のすり身、ジャガイモの牛乳煮)です。シャルドネは一般的に揚げ物との相性は良いですが、こちらもオークによるバニラのような風味の旨味がブランタードのミルキーな旨みと合います。ブランタードにブリッジ食材のアーモンドを加えます。アーモンドがシャルドネのオークの風味を和らげブランタードとマッチします。さらなるクリーミーな味わいが生まれ、心地良いなめらかな口当たりとなります。ゴールデンアイはアンダーソン・ヴァレー(メンドシーノ)のピノ・ノワールに特化したブランドです。1997年がファースト・ヴィンテージです。ゴールデンアイのピノ・ノワールに合わせるのは有機豚のロースト(黒ニンニク風味)です。華やかでリッチな味わいのこのピノ・ノワールはこのままでも相性は良いと思いますが、有機豚のローストにブリッジ食材のワイン・スプレッド(オリーブ)を加えます。ピノ・ノワールの華やかさが広がります。さらに、塩、クルミでも。塩は唾液を呼び起こし、ワインが進みます(笑)。クルミの風味は華やかな果実味をさらに華やかな(ワインに軽みをもたらす)味わいにさせてくれます。

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ダックホーンがカリフォルニア州以外で初めて造りだしたキャンバスバックです。ワシントン州の銘醸地レッド・マウンテンのカベルネ・ソーヴィニヨンです。ナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニヨンと比べるとややタンニンが柔らかく(やや深みのない?)、クラシックな味わいでしょうか。合わせるのは鴨のローストです。(ちなみに1つ前の豚のローストとも合います。)鴨もこのままでも相性は良いと思いますが、ブリッジ食材の山椒を加えます。少し香りとスパイスの風味を付けた鴨がカベルネ・ソーヴィニョンの赤黒い果実味と合います。そしてタンニンを和らげてくれます。少し血の要素がある鴨はゴールデンアイとも合います。少しの塩を加えるのが良い感じでした。使い方によっては塩もワインの美味しさを引き出してくれます。ダックホーンの2番目のブランドとして誕生したパラダックスです。1994年がファースト・ヴィンテージです。ジンファンデル・ベースのワインとして誕生しましたが、現在はカベルネ・ソーヴィニョン・ベースのワインになっています。合わせるのはハンバーガーです。これもこのままでも相性は良いと思いますが、ブリッジ食材の黒胡椒、バルサミコ・クリームを加えます。セパージュのジンファンデルやプティ・ヴェルドが黒胡椒と合います。余韻にさらなるスパイス感をもたらします。バルサミコ・クリームは肉の旨みを増し、濃縮したレッド・ブレンドワインと合います。旨味と旨味の調和です。ハンバーガーというとケチャップを思い出すかもしれませんが、ですが(甘味と酸味を持つ)ケチャップと赤ワインの相性はあまり良くないようです。最後はダックホーン・ヴィンヤーズから。もちろんメルローです。こちらもハンバーガーと。ブリッジ食材の粒マスタード、セージのフリットを加えます。カベルネ・ソーヴィニョンと比べると、同様にタンニンはありますがフルーツ味も感じさせてくれるのがダックホーンのメルロー。粒マスタードはそのフルーツ味を少し引き締めてくれます。セージも味わいや風味が増し、メルローの華やかさと合います。最後にデザートが出ました。オリーブケーキ(焼菓子)です。これにブリッジ食材のプラムの赤ワイン煮込みを加えると赤ワインと合います。さらにプラムに塩やセージを加えてもいい感じでした。ブリッジ食材によって、デザートとワインの良いマリアージュも生まれました。料理は食材、その調理法、その味付けによってワインとの相性が決まりますが、さらにブリッジ食材を加えることで、さらにワインの味わいを引き出してくれました。基本的なペアリングはありますが、いろいろチャレンジしてみるのもおもしろいと思います。

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ニールさんは初来日です。残念ですが今日もゆっくりお話しする時間がありませんでした。とにかくちょこっとご挨拶。そしてジャイアンツのジャージを見せるとニールさんは大興奮(笑)。「オーナー(マーガレットさん)も社長(アレックスさん)も副社長(ピートさん)もサインあるじゃん!」「はい。(ダックホーンの)ワインメーカーさんのサインもあります。あの写真よろしいですか?」「もちろん!僕のスマホでも写真撮ってくれよ!」「チャンスがあれば、あなたに会いに行きます。」「会えて光栄だよ。ナパ・ヴァレーで待ってるよ。」なんだかとっても興奮のニールさんでした。ちなみにこれでダックホーンからのサインは9つになりました(笑)。。。

ニールさんと・・・ CIMG2271
中央下にニールさんのサイン
(その上はオーナー夫人の
マーガレットさん)
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