トーマス・ブラウン氏来日!(リヴァース・マリー)

今カリフォルニアのカルト・カベルネを牽引するワインメーカーと言えば・・・

ハーラン(WA100)、ボンド(WA100)のボブ・レヴィ。スクリーミング・イーグル(WA100)、オヴィッド(WA99)、スタッグリン・ファミリー(WA97)のアンディ・エリクソン。ブライアント・ファミリー(WA100)、ハンドレッド・エーカー(WA100)、ダナ(WA100)のフィリップ・メルカ。そしてシュレイダー(WA100)、アウトポスト(WA100)、マイバック(WA100)のトーマス・ブラウンの4人でしょうか。。。

そのカルト・カベルネのトップ・プロデューサーの1人であるトーマス・ブラウン氏が初来日しました。本日輸入元主催のセミナーに参加しました。

 リヴァース・マリー2

今最も注目を浴びるワインメーカーの1人であるトーマス・リヴァース・ブラウン。トーマス・ブラウンはノースカロライナ出身(バージニア大学卒)。レストランで働きワインに興味を持つようになりました。ナパへ移り、ヘレン・ターリー、エレン・ジョーダン、フレッド・シュレイダーと出会いました。1997年からターリーに参加。そして2000年からシュレイダーに参加しました。シュレイダーでは3年連続同一銘柄パーカー100点を獲得。現在20のパーカー100点ワインを有します(うちシュレイダーで17。シュレイダーではWA誌とWS誌の両方で100点獲得の快挙達成。)。今や世界最高峰のカベルネのプロデューサーと言っても過言ではありません。

トーマス・リヴァース・ブラウンは現在40社ほどのワインメーカー及びコンサルタントを務めます。シュレイダー(WA100)をはじめ、アウトポスト(WA100)、マイバッハ(WA100)、ジョーンズ・ファミリー、レヴァーナ、プリド~ウォーカー、ブラック・シアーズ、クラーク・クラウドン、マヤカマス、ハリス、キアレロなどです。カベルネ・ソーヴィニヨン主体のワインで、ワイン・アドヴォケイト誌やワイン・スペクテーター誌で高得点を叩き出しています。”ニューワールドで最も偉大なカベルネ生産者”と言われています。

そのトーマス・リヴァース・ブラウンが、妻ジュヌヴィエーヴ・マリー・ウゥルシュと自分の名前(ミドルネーム)を冠して造るのが「リヴァース・マリー」。ソノマ・コースト、オキシデンタル地区の歴史ある畑スーマ・ヴィンヤードを譲り受け、2002年からオキシデンタル地区の畑の葡萄に特化したワインを造り始めました。初のワインは130ケースのピノ・ノワール(シャルドネは2007年から)。またナパ・ヴァレーの特徴ある畑からカベルネ・ソーヴィニヨンも造り出しています(2003年から)。生産量の少なさからメーリングリストのみ(4,000人以上が待つ)で販売されていましたが、現在極僅かな数量が日本正規入荷しています。

今回のセミナーはリヴァース・マリーのピノ・ノワールを6種類テイスティングしました。基本的にピノ・ノワールは、手摘みの葡萄を除梗しコールドソーク(低温浸漬)。自然発酵を待ち、その後樽に移します。100%マロラクティック発酵。人工的な澱引きはせず、ノンフィルターで瓶詰め。瓶熟成を含め、熟成は約10ヶ月。年号の個性、畑の個性を表すことをモットーとします。エチケットは畑の上空を飛ぶ「ツバメ」です。

通常はブレンド・ワインからシングル・ヴィンヤード・ワインへ(いわゆる価格の安いものから高いものへ)とテイスティングするのが一般的ですが、トーマス氏の意向で今回は軽いワインから重いワインへ(赤系果実から黒系果実へ)とテイスティングしました。(価格は輸入元税抜定価です・・・)

リヴァース・マリー1

 Rivers-Marie Summa Old Vine Pinot Noir Sonoma Coast
★リヴァース・マリー スーマ オールド・ヴァイン ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013 ¥13,000 G94

2002年から生産しているオキシデンタル地区の自社畑スーマ・ヴィンヤードです(スーマは2010年に買い取り、現在自社畑です)。この地区では一番海に近い西側の場所にあり、海からは約10~20kmほどです。冷涼地。約1,2haの畑のうち、オリジナル・スーマ(オールド・ヴァイン)は約0,8haで、1978年に植樹されました(樹齢40年)。多くの生産者がこの葡萄を購入した珠玉の畑ですが、特に1980年代後半からウイリアムズ・セリエムがこの畑のスワン・クローンから造ったワインで有名です。プラム、ブラッドオレンジ、ドライハーブ。特にオレンジのニュアンスが印象的。酸度が高く、複雑な深みと共に軽やかさが存在することが驚きです。100%新樽使用(100%使用とは思えない複雑で繊細な味わいです)。生産量200ケース。アントニオ・ガローニが94点を付けました。

 Rivers-Marie Summa Vineyard Pinot Noir Sonoma Coast
★リヴァース・マリー スーマ・ヴィンヤード ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013 ¥8,500 G92

上述の古い区画スーマ・オールド・ヴァインに新たに付けたされた新しい区画のスーマ・ヴィンヤードは1998年に植樹(樹齢20年)。オールド・ヴァインの中でも優良な樹から挿し木をして増やしました。またオールド・ヴァインは樹間が広いので、その間に新しい樹も植樹し、樹間を狭くしました。赤系のベリー。土っぽさもあり、口当たりのまろやかさや旨味と共にドライハーブのニュアンスがあります。スーマ・オールド・ヴァインと比べると、樹齢の若さから来る色濃くフルーツ味のある味わいになっています。ですがくどい濃厚さは全くありません。約15%新樽使用。生産量60ケース。

 Rivers-Marie Pinot Noir Sonoma Coast
★リヴァース・マリー ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013 ¥6,500 G91

オキシデンタル地区の北部に位置するリドル・ランチ・ヴィンヤードが主体。シングル・ヴィンヤードにならなかった樽と、スーマ・オールド・ヴァインの畝間に植えられた新しい樹の葡萄をブレンド。クローンは、ポマール、マウント・エデン、ディジョン828 。毎年畑の割合は異なりますが、そのヴィンテージの特徴をよく表したワインとなります。酸味を感じるザクロなどの赤系の華やかな果実味。クローブやミントのスパイス。ブリオッシュとスモーキーなニュアンスもあり。新樽使用なし。生産量600ケース。

 Rivers-Marie Occidental Ridge Vineyard Pinot Noir Sonoma Coast
★リヴァース・マリー オキシデンタル・リッジ・ヴィンヤード ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013 ¥8,800 G94

スーマ・ヴィンヤードより内陸部の、オキシデンタルの町に近い丘の斜面に位置するオキシデンタル・リッジ・ヴィンヤード。内陸部ながら海からの冷たい風が吹き込みます。日射量は十分。ディジョンクローン 115、667、777 の3つすべてがブレンドされます。早熟のディジョンクローンですが、自然の酸が生き、バランスのとれた味わいになっています。(良年のためあえて)フルーツの甘みを抑えるため10%ほど全房で発酵。レッドベリーとダークベリー。赤系と黒系果実の両方がうまく混ざり合っています。この畑独特のペニーロイヤルミント(カバークロップ)が特徴的。約30%新樽使用。生産量275ケース。2005年から生産。

 Rivers-Marie Silver Eagle Vineyard Pinot Noir Sonoma Coast
★リヴァース・マリー シルバー・イーグル・ヴィンヤード ピノ・ノワール ソノマ・コースト 2013 ¥9,000 G94

オキシデンタル地区の北部に位置する(リドル・ランチより北)シルバー・イーグル・ヴィンヤードは、ソノマ随一の栽培家ユリシス・ヴァルデスが所有する畑です。また元コスタ・ブラウンのマイケル・ブラウンの自社畑トゥリー・ハウス(サーク CIRQ)はこの畑の東側の丘に隣接します。カレラ・クローン、ヴォーヌ・ロマネ・クローン、ディジョン828 (カリフォルニアで開発されたクローン)を使用。北部に位置しますが、少し内陸に入り風がさえぎられることでやや温暖。そのため赤系よりも黒系のニュアンスがあります。ダークベリーやブラックカラントの風味。しかし自然の酸があるため重たさは感じません。約30%新樽使用。生産量400ケース。2009年から生産。

 Rivers-Marie Kanzler Vineyard Pinot Noir Sonoma Coast
★リヴァース・マリー カンツラー・ヴィンヤード ソノマ・コースト 2014 ¥8,200 G91

オキシデンタル地区の南東で、ルシアン・リヴァー・ヴァレー南部のセバストポールの町の南西に位置するカンツラー・ヴィンヤードです。内陸部で冷たい風は和らぎ、日中は日照を確保します。近くにマルティネリのボンディ・ホームランチやダットン・ランチがあります。コスタ・ブラウンが使用する畑として有名。クローンは、ポマール、ディジョンクローン667、115 。2014年も良年で葡萄がジューシーで濃厚だったため、全房発酵の割合を10%から15%に引き上げました。ブラックラズベリー、ダークチェリーの風味。凝縮感もありタンニンもありますが、自然の酸が全体を引き締めしなやかさや上品さも持ち合わせます。約25%新樽使用。生産量250ケース。2012年から生産。

6つともそれぞれ畑の特徴をはっきりと表現したピノ・ノワールです。クラシカルで、どちらかというと黒よりも赤の果実味が満載した素晴らしい味わいです。カベルネ・ソーヴィニヨン造りではパーカーが100点を連発しているように濃厚なワインのイメージがありますが、ピノ・ノワール造りはカベルネ・ソーヴィニヨンとは真逆の造りと言えるかもしれません。本当にクラシカルでエレガントなピノ・ノワールです。(ちなみにご本人はカベルネよりピノ・ノワールのほうがお好きなようです・・・)セミナー後シュレイダーがピノ・ノワールに特化したブランドの「ボアズ・ヴュー」「アストン」もテイスティングできました。そしてリヴァース・マリーのカベルネ・ソーヴィニヨンとシュレイダーのカベルネ・ソーヴィニヨンもです(感激)。。。

 リヴァース・マリー3

今日は本当に時間がなくセミナー終了後バタバタのご挨拶。こんな超大御所に対して、とにかくサイン頂戴!みたいな(笑えない)。トーマスさん、フィリップ・メルカやアンディ・エリクソンやアン・コルギンのサイン見て苦笑してましたけど。サインはターリー時代の師匠であるエレン・ジョーダンさんのそばに。。。(同行のアシスタント・ワインメーカー?の方が大のジャイアンツ・ファンということで彼にもサイン頂戴しました・・・立派なワインメーカーになっていただきたいです・・・笑)

トーマスさんと・・・ CIMG2177
左肩のあたりに・・・ CIMG2182

【カルトのシュレイダーは6万円以上ですが、こちらはなんと1万円そこそこです・・・】(2016年12月10日公開)

 

 

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