クレオ・パルメイヤー女史来日!(パルメイヤー)

ナパ・ヴァレーのトップ・ワイナリーの1つである「パルメイヤー」。創業者ジェイソン・パルメイヤー氏の愛娘で、昨年パルメイヤーの社長に就任したクレオ・パルメイヤー女史が初来日しました。輸入元主催のセミナーに参加しました。

創業者のジェイソン・パルメイヤーは元弁護士。法律の専門書よりワインの専門書を読んでいる時間のほうが長いことにある日ふと気づきました。そしてカリフォルニアでシャトー・ムートンと同じレベルのワインを造ることを決意しました。ジェイソン・パルメイヤーはボルドー大学で醸造学を学び、ボルドー大学の栽培学&醸造学の教授のアドバイスを得て、クラシカルなボルドーワインを生み出すクローン、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルロー、プティ・ヴェルド、マルベックを入手し、1980年ナパ・ヴァレーの東の丘陵地に植えました。(ジェイソン・パルメイヤーはボルドーの有名なシャトーからカベルネ・ソーヴィニヨンの樹を隠し持ち帰ったとのこと。マルベックはなんとあのムエックスから譲ってもらったようです。そしてUCデイヴィスに預けて培養したとのことです。)

カリフォルニアのカベルネの代名詞とも言われるケイマスのワインを確立させた、当時ナパ・ヴァレーで№1と言われた醸造家ランディ・ダンを迎え入れ、1986年パルメイヤーはボルドースタイルのワインを造り上げました(後にシャルドネは現ハーラン・エステートのワインディレクターであるボブ・レヴィによって造り上げられました。)。1993年からは数々のトップ・ワイナリーに携わり、自らもカルトワインのマーカッシンを造り出したヘレン・ターリー女史を迎え入れ、パルメイヤーは瞬く間にナパのトップ・ワイナリーに仲間入りしました。

1994年に公開されたマイケル・ダグラス、デミー・ムーア共演の映画「ディスクロージャー」では、パルメイヤーのシャルドネがストーリーの展開を大きく左右する重要な小道具として使われ、その名前は世界中に広がりました。

パルメイヤー3

クレオ・パルメイヤー女史は2008年にパルメイヤーに入社。昨年2017年に社長に就任しました。2012年ヴィンテージでスタートした新ブランドの「ウェイフェアラー」では中心人物としてワインを造り上げました。クレオ・パルメイヤー女史からパルメイヤーの歴史、そしてアトラスピーク(ナパ・ヴァレー)の自社畑ウォーター・ランチから造られる「パルメイヤー」、セカンドワインの「ジェイソン」、新たに入手したウェイフェアラー・ヴィンヤード(ソノマ・コースト)から造られる新ブランドの「ウェイフェアラー」の3つのブランドの説明がありました。

パルメイヤー1

テイスティングはこちらです・・・(価格は輸入元税抜価格です・・・)

 Wayfarer Chardonnay Wayfarer Vineyard Fort Ross-Seaview 2014
★ウェイフェアラー シャルドネ ウェイフェアラー・ヴィンヤード フォート・ロス・シーヴュー 2014 ¥13,500
 Wayfarer Pinot Noir Wayfarer Vineyard Fort Ross-Seaview 2013
★ウェイフェアラー ピノ・ノワール ウェイフェアラー・ヴィンヤード フォート・ロス・シーヴュー 2013 ¥15,500
 Wayfarer Pinot Noir Mother Rock Wayfarer Vineyard Fort Ross-Seaview 2013
★ウェイフェアラー ピノ・ノワール マザー・ロック ウェイフェアラー・ヴィンヤード フォート・ロス・シーヴュー 2013 ¥20,000
 Pahlmeyer Chardonnay Napa Valley 2015
★パルメイヤー シャルドネ ナパ・ヴァレー 2015 ¥15,000
 Pahlmeyer Merlot Napa Valley 2014
★パルメイヤー メルロー ナパ・ヴァレー 2014 ¥14,000
 Pahlmeyer Proprietary Red Wine Napa Valley 2014
★パルメイヤー プロプライエタリー・レッドワイン ナパ・ヴァレー 2014 ¥28,000

まずはパルメイヤーの新ブランドの「ウェイフェアラー」です。ウェイフェアラー・ヴィンヤードはソノマ・コーストの中央部の、2011年に AVA 認定されたフォート・ロス・シーヴューの中でも北部に位置します。近くにはハーシュ、マーカッシン、フラワーズ、ピーター・マイケルの畑があります。ウェイフェアラー・ヴィンヤードは元々野菜や果物を育てていたウェイフェアラー・ランチという農場でしたが、1998年当時ワインメーカーを務めていたヘレン・ターリーのアドバイスによりジェイソン・パルメイヤーはこの土地の購入を決意しました。ヘレン・ターリーは「カリフォルニアのラ・ターシュとなる畑だ」とコメントしました。2002年デヴィッド・エイブリューにより植樹。長い期間の葡萄の成長後、2012年ヴィンテージで初リリースとなりました。パルメイヤーは2005年にこのウェイフェアラーの葡萄を主体にピノ・ノワールを造り上げましたが、独立したブランドで造ることを提案したのがクレオ女史でした。現在シャルドネは4つのクローン、ピノ・ノワールは12のクローンが植樹されています。ウェイフェアラーはこの地にみられる畑の柵を意味します。(ウェイフェアラー・ヴィンヤードについては下記の URL からご覧ください。)

2014年シャルドネは、オールド・ウエンテ、マウント・エデンのクローンが主体。涼しい夜のうちに収穫され、除梗せずにプレス。フレンチオーク(65%新樽)で発酵、そして熟成(約15ヶ月)。週1回のバトナージュ(攪拌)。人工的な清澄及び濾過はなし。マイヤーレモン、アプリコット、レモングラス、ドライハーブ。綺麗な果実味で、濡れた石のようなミネラル感が満載。秀逸な酸が共存します。ワイン・エンスージアスト誌で2016年年間トップ100ワインの第2位に選出されました。VINOUS 94 、WINE ENTHUSIAST 98 。800ケース。2013年ピノ・ノワールは、ディジョン、ポマール、ハーシュ、オールド・ウエンテなど12のクローンから(25のブロックから)。十分に成熟した梗を持つ房だけ残し(8%ほど)、残りの房は徐梗。低温浸潤後、天然酵母で約2週間の発酵。フレンチオーク(40%新樽)で15ヶ月熟成。チェリーやクランベリーの生き生きとしたアロマ。華やかな果実味とシルキーなタンニン。酸とミネラルも十分に感じます。しっかり味わいがあるが重くないピノ・ノワールです。VINOUS 94 。1200ケース。ウェイフェアラーのピノ・ノワールはその個別の個性を表す4つの上級キュヴェ、ゴールデン・ミーン、マザー・ロック、ペイジズ・リッジ(ワイナリー限定)、ザ・トラベラーが少量生産されています。2013年マザー・ロック・ピノ・ノワールは、37 、Dijon 777 から。ウェイフェアラー・ヴィンヤードの2区画の葡萄を使用。その区画は、母岩(マザー・ロック)まで葡萄樹の根が地中深くまで伸ばしていける砂質土壌で、母岩のミネラル感や火打石のニュアンスなど土壌の個性をワインの味わいに転化できる特別な区画です。手摘みで収穫。全体の18%は梗が付いたまま残し、残りは徐梗。低温浸潤後、天然酵母で約2週間の発酵。フレンチオーク(50%新樽)で15ヶ月熟成。色の濃いルビー色。黒すぐりのアロマ。カリフォルニアらしいフルーツが存在しながらも引き締まったタンニンを持つ力強さも兼ね備えます。皮、土、鉱物のニュアンスもあります。VINOUS 93 。325ケース。ボルドーワインの魅力にとりつかれたジェイソン・パルメイヤーですが、ブルゴーニュワインにももちろん興味はありました。クレオ女史のお話では、「ブルゴーニュのグランクリュを2つ購入して、そこでヘレン・ターリーにワインを造らせたかった」とジェイソンはコメントしたそうです。

パルメイヤー」はナパ・ヴァレー東のアトラスピーク南端に自社畑ウォーター・ランチを所有します。デヴィッド・エイブリューによって植樹。山の麓に位置し、水はけの良いやせた土壌です。夜と昼の寒暖差が大きく、日中は長く多い日射量を持ちます。小粒な葡萄ですが、色づきが良くタンニンの多い葡萄が育ちます。葡萄の栽培管理を厳しくしっかり行うことをパルメイヤーは実践しています。ナパ・ヴァレーに向いた涼しい西側斜面にシャルドネとメルローを主体に、東側にカベルネ・ソーヴィニョンを主体に植えられています。この自社畑ウォーター・ランチと、長きに渡り信頼関係を続けているナパ・ヴァレーの契約畑(ステージコーチ、ランチョ・チマイルスなど)の葡萄からパルメイヤーのワインが造り出されます。シャトー・ムートンと同じ木製発酵樽を使用。ブロックごとに発酵させます。

2015年シャルドネは、エステートのウォーター・ランチから。100%シャルドネ。プレス後ステンレスタンクで低温で一晩置き、不純物を自然に沈殿させ上澄み部分を樽に移し、第一次発酵とマロラクティック発酵(約30%)を行う。フレンチオーク(95%新樽)で11ヶ月シュール・リー熟成。清澄、濾過なし。トロピカルフルーツ、ブリオッシュのアロマ。樽のニュアンスがたっぷりでリッチな味わいですが、凝縮した果実味と樽の風味が見事に溶け合っています。心地良い酸も存在。ワイン・スペクテーター誌で2017年年間トップ100ワインの第9位にランクインしました。Robert Parker 96 、Wine Spectator 95 。2014年メルローは、エステートのウォーター・ランチから。93%メルロー、4%プティ・ヴェルド、2%マルベック、1%カベルネ・ソーヴィニョン。選果して徐梗。さらに粒毎に選果し低温浸漬後発酵。熟成は15%が500リットルの樽で、残りは225リットルのフレンチオーク(セガン・モローとタランソー)。熟成は20ヶ月(85%新樽)。プラム、ラズベリー、チョコレート、エスプレッソのアロマ。赤黒系の果実味はジューシーですがしっかりとした骨格を持ちます。ヴェルヴェットの舌触り。綺麗な酸も存在。まさにリッチでフルボディ。そしてヴァレーフロアーのメルローとは違い、深みと凝縮感のあるメルローです。もちろん長期熟成可能です。Robert Parker 94。そしてパルメイヤー最初のワインで、1986年から造られたボルドースタイルのワインです。2014年プロプライエタリー・レッドワインは、エステートのウォーター・ランチ、そしてステージコーチ(アトラス・ピーク)とランチョ・チマイルス(ナパ・ヴァレー)から。87%カベルネ・ソーヴィニョン、5%メルロー、4%マルベック、3%カベルネ・フラン、1%プティ・ヴェルド。プロプライエタリー・レッドワインは75のロットから成るボルドー5品種をブレンドしたワインです。それぞれの品種は収穫から醸造まで別々に行われます。熟成は15%が500リットルの樽で、残りは225リットルのフレンチオーク(セガン・モローとタランソー)。熟成は20ヶ月(85%新樽)。カシス、ブラックベリー、ビターチョコレートのアロマ。なめらかなアタック。現在はまだ閉じた状態ですが、リッチで複雑な赤黒い(黒い)果実味を持ち、心地良い酸が全体のバランスを取ります。20年以上の熟成が可能です。Robert Parker 94 、Wine Spectator 95 。

ジェイソン」はパルメイヤーのセカンドワインです。1992年からリリースされました。現在は、トップ・キュヴェに使われなかった自社畑のウォーター・ランチとウェイフェアラーの葡萄を主体に造られます。トップ・キュヴェと同じ醸造方法で造られたワインですので、セカンドワインと言えどもパルメイヤーの個性を十分に感じ取れるワインです。そして早くから楽しめるワインです。

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ランディ・ダン、ボブ・レヴィ、ヘレン・ターリー、エリン・グリーン、ケール・アンダーソンと錚々たる歴代ワインメーカーを経て、現在ワインメーカーを務めるのはビビアナ・ゴンザレス・レーヴ女史です(あのピゾーニ・ワイナリーのジェフ・ピゾーニ氏の奥様です)。2012年からソノマの葡萄で造られるパルメイヤーのコンサルタントに就任。そして現在はナパ・ヴァレーのパルメイヤーのコンサルタントも務めています。ビビアナさんは「この畑(ウェイフェアラー)を見た時から、これは別格だ、この約束の地には必ず人智が必要とされる。」と語りました。葡萄の育成期間は週に何度も畑の様子を見に通い、栽培チームに指示を出します。2015年サンフランシスコ・クロニクル紙でワインメーカー・オブ・ザ・イヤーに選出されました。(ビビアナさんについても下記の URL からご覧ください。)

実はクレオさんは昨年10月中旬に来日するはずでしたが、あのカリフォルニア大規模火災のため来日が中止となりました。アトラスピークで発生した火災はパルメイヤーの畑の目の前まで来たそうです。ですが葡萄畑が防火帯的な役割を果たし、幸いにも畑に被害はありませんでした。全米から集まった消防隊員の献身的な消火活動もあり、火災は本当に畑の目の前で止まったとのことです。セミナー終了後クレオさんにご挨拶。クレオさんは身長180センチの超美人さんです。「はじめまして。(自己紹介後)あの~私のシャツにサインが欲しいのですが。」「OK!ですよ。」「これです。」「お~!ジャイアンツ!」「カリフォルニアのワイナリーのオーナーやワインメーカーのサインです。」「グレート!」「ビビアナさんのサインもありますよ!」「(大笑)」「実はアトラスピークのご自宅を訪問しました。お父様ジェイソンさんにお会いしました。」「そうですか(笑)。」「あなたがまだ少女の頃です。」「(大笑)」チャーミングでクレバーな印象のクレオさん。今後のパルメイヤーに期待しちゃいます。サインはやっぱりビビアナさんのそばに。。。

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クレオさんと・・・ CIMG2245
左端にクレオさん
その下がビビアナさん
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【「カリフォルニアのラ・ターシュ」となる畑だ(ヘレン・ターリー)あのパルメイヤーから新ブランド「ウェイフェアラー」が誕生です!】(2014年11月5日公開)

 

 

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