昨年日本初入荷した「ラシーヌ・ワイン」です。ラシーヌの当主であり、400年の歴史を誇るヴォルネイの名門「ドメーヌ・ド・モンティーユ」の現当主でもあるエティエンヌ・ド・モンティーユ氏が来日しました。
400年の歴史を誇るヴォルネイの名門「ドメーヌ・ド・モンティーユ」。創業は1733年です。9代目となる現当主エティエンヌ・ド・モンティーユは、父親ユベール・ド・モンティーユの僅かな土地を20haまで拡大し、またコート・ド・ニュイにも進出し、現在ドメーヌ・ド・モンティーユとシャトー・ド・ピュリニー・モンラッシェを運営します。2019年には函館でブルゴーニュ品種を生産するブランドを立ち上げたことは大きな話題となりました。
ドメーヌ・ド・モンティーユはその半数のスタッフがフランス国籍以外の出身だそうです。彼らが持つカルチャーやキャラクターに興味を持ったエティエンヌ・ド・モンティーユはブルゴーニュ以外でチャレンジしようと考えました。エティエンヌ・ド・モンティーユと、同ドメーヌでシェフ・ド・カーヴを務めるブライアン・シーヴ(アメリカ人)は新天地を求め、2016年にオレゴンとカリフォルニアのワイン産地を巡る旅に出ました。ウィラメット・ヴァレー(オレゴン)、ウエスト・ソノマ・コースト、サンタクルーズ・マウンテン、サンタ・リタ・ヒルズなどの銘醸地を見て廻りましたが、エティエンヌとブライアンは特にサンタ・リタ・ヒルズに強い興味を持ちました。その時特に感銘を受けたワインを作っていた「タイラー Tyler Winery」のジャスティン・ウィレットにコラボレーションを持ち掛け、サンタ・リタ・ヒルズで最高峰のシャルドネとピノ・ノワールを造り出そうと意気投合しました。その1年後、エティエンヌの友人であり、シャンパーニュの人気レコルタン・マニュピュランの「ピエール・ぺテルス」のロドルフ・ぺテルスがこのプロジェクトに加わり、フランスとアメリカの国境を越えたマルチコラボレーション・ワイナリーが誕生しました。ロドルフはサンタ・リタ・ヒルズの選りすぐりの葡萄を使い、シャンパーニュ製法の本格的スパークリングワインの生産を担当しました。「ラシーヌ・ワイン」はこの4人のコラボから誕生したワイナリーです。2017年がファースト・ヴィンテージです。(4人でスタートしたプロジェクトでしたが、現在はジャスティンに代わり、地元サンタ・リタ・ヒルズのスペシャリストであるライアン&ベッツィー・ハナフォード夫妻が栽培パートナーとして参加しています。)
エティエンヌ、ブライアン、ロドルフにとって、ラシーヌはブルゴーニュとシャンパーニュというフランスの2つの偉大な産地の歴史と伝統に囚われずに、発想力と職人技を駆使できる最高の白紙のキャンバスのような存在です。それぞれのパートナー達が専門知識と経験を持ち寄り、世界で有数のシャルドネとピノ・ノワールの冷涼産地として注目が集まるサンタ・リタ・ヒルズのテロワールをフランスの伝統的技法を用いてワインで表現することが目的です。
テイスティングはこちらです・・・(価格は輸入元上代税抜価格です・・・)
- Racines Wine -
Racines Grand Reserve Chardonnay Sparkling Wine Sta. Rita Hills NV
★ラシーヌ グランド・リザーブ シャルドネ スパークリングワイン サンタ・リタ・ヒルズ NV ¥12,000
Racine Sta. Rita Hills Cuvee Chardonnay Sta. Rita Hills 2019
★ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ・キュヴェ シャルドネ サンタ・リタ・ヒルズ 2019 ¥9,500
Racine Wenzlau Family Vineyard Chardonnay Sta. Rita Hills 2019
★ラシーヌ ウエンズラウ・ファミリー・ヴィンヤード シャルドネ サンタ・リタ・ヒルズ 2019 ¥15,000
Racine Bentrock Vineyard Chardonnay Sta. Rita Hills 2019
★ラシーヌ ベントロック・ヴィンヤード シャルドネ サンタ・リタ・ヒルズ 2019 ¥16,000
Racine Sanford & Benedict Vineyard Chardonnay Sta. Rita Hills 2019
★ラシーヌ サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤード シャルドネ サンタ・リタ・ヒルズ 2019 ¥16,000
Racine Sta. Rita Hills Cuvee Pinot Noir Sta. Rita Hills 2019
★ラシーヌ サンタ・リタ・ヒルズ・キュヴェ ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ 2019 ¥10,000
Racine La Rinconada Vineyard Pinot Noir Sta. Rita Hills 2019
★ラシーヌ ラ・リンコナーダ・ヴィンヤード ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ 2019 ¥18,000
Racine Sanford & Benedict Vineyard Pinot Noir Sta. Rita Hills 2019
★ラシーヌ サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤード ピノ・ノワール サンタ・リタ・ヒルズ 2019 ¥18,000
先ずは、ラシーヌが立ち上げから造るブラン・ド・ブラン(100%シャルドネ)のスパークリングワインのグランド・リザーブです。レコルタン・マニュピュランのスペシャリストであるロドルフ・ぺテルスが手掛けます。葡萄は、契約畑のウエンズラ・ヴィンヤード、リンコナーダ・ヴィンヤード、ベントロック・ヴィンヤード、サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤードから。全房プレス。瓶内2次発酵後30ヶ月の熟成。2019年をベースに、2018年と2017年のリザーブワインが25%ブレンドされています。ドサージュは 4,5 g/L (エキストラ・ブリュット)です。ALC 12,5% 。非常に繊細で、かつ生き生きとした刺激感があります(シャンパーニュより繊細です・・・苦笑)。今後スパークリングワインは、50%収穫ヴィンテージのワイン、50%過去のリザーブワインで構成するようです。
シャルドネはブルゴーニュと同じ醸造を行います。収穫はあえて早めに。3つの発酵槽を使用(225L樽、500L樽、樽型のステンレスタンク)。発酵後タンクに移し清澄を行いますが、なんとブルゴーニュに輸送してブルゴーニュで清澄を行うとのことです。サンタ・リタ・ヒルズ・キュヴェ・シャルドネはラ・メサ・ヴィンヤードとウエンズラウ・ヴィンヤードの葡萄が主体。ラ・メサはあのドメーヌ・ド・ラ・コートから借りている畑です。ウエンズラウはリタズ・クラウン、マウント・キャメル、シー・スモークに囲まれたドラマチックな畑で、道路を挟んで歴史的なサンフォード&ベネディクト・ヴィンヤードがあります。500Lのパンチョン(大樽)と228Lのバリックで発酵。1年ほど熟成(10%新樽)させて、澱と共にステンレスタンクに移してさらに5ヶ月熟成。ALC 12,7% 。僅かに微かに靄のかかったかのような色合い。バランスの取れた旨味です。アフターが綺麗に消えていく。ウエンズラウ・ファミリー・ヴィンヤード・シャルドネは、リタズ・クラウン・ヴィンヤード、マウント・キャメル・ヴィンヤード、そしてシー・スモーク・ヴィンヤードに囲まれた傾斜地の畑から。有機栽農法で栽培されています。500Lのパンチョン、350Lの樽、そして228Lのバリックで発酵。1年ほど熟成(20%新樽)させて、澱と共にステンレスタンクに移してさらに5ヶ月熟成。ALC 12,7% 。繊細ですがはっきりとした旨味を持ちます。やはりバランスの取れた旨味です。ベントロック・ヴィンヤード・シャルドネは、サンタ・ローサ・ロードの西の外れにある、サンタ・リタ・ヒルズ最西部に位置する畑から。2つの区画からで、2つとも北向きの区画です。500Lのパンチョン、350Lの樽、そして228Lのバリックで発酵。1年ほど熟成(25%新樽)させて、澱と共にステンレスタンクに移してさらに6ヶ月熟成。ALC 13% 。綺麗な果実味です。そして非常にボディが細い?繊細な果実味です。そしてサンフォード&ベネディクト・ヴィンヤード・シャルドネです。サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤードは、1971年にリチャード・サンフォード氏が植樹したサンタ・バーバラ・カウンティの最古の畑で、サンタ・リタ・ヒルズを語る上で欠かすことのできない伝説的かつ歴史的な畑です。このシャルドネには1971年に最初に植樹した区画の葡萄が提供されました。500Lのパンチョン、350Lの樽、そして228Lのバリックで発酵。1年ほど熟成(30%新樽)させて、澱と共にステンレスタンクに移してさらに7ヶ月熟成。ALC 13,2% 。しっかりと果実味を感じますがやはり非常に繊細な味わい。パワーとエレガンスが共存します。
ピノ・ノワールもブルゴーニュと同じ醸造を行います。全房発酵の比率は高めです。新樽はブルゴーニュから取り寄せます。ドメーヌ・ド・モンティーユで使用する樽を製造するクーパレッジから取り寄せます。土壌のニュアンスを感じる、そして重くなく軽やかですがタンニンのあるピノ・ノワールを目指します。サンタ・リタ・ヒルズ・キュヴェ・ピノ・ノワールは、ラ・メサ・ヴィンヤード、ラ・エンカンターダ・ヴィンヤード、ラ・リンコナーダ・ヴィンヤード、そしてサンフォード&ベネディクト・ヴィンヤードのブレンドです。有機農法の畑です。土着酵母のみを使用で、約50%を全房発酵させました。クラッシュ(破砕)とピジャージュ(攪拌)をうまく組み合わせて、約3週間かけて発酵。228Lのバリック(15%新樽)で17ケ月熟成。ハーブやスパイスのニュアンス。重みのない、華やかな果実味です。ラ・リンコナーダ・ヴィンヤード・ピノ・ノワールは、サンフォード&ベネディクト・ヴィンヤードに隣接する畑から。北側の区画を使用。リチャード・サンフォードが北カリフォルニアから持ち込んだマウント・エデンの挿し木が使われています。2/3 を全房発酵。クラッシュとピジャージュをうまく組み合わせて発酵。228L樽のバリック(30%新樽)で19ヶ月熟成。ALC 13,2% 。こちらもハーブやスパイスのニュアンスを強く感じます。軽やかですがしっかりとした旨味を持ちます。そしてサンフォード&ベネディクト・ヴィンヤード・ピノ・ノワールです。3つの区画の葡萄を使用。そのうち2つは樹齢10~12年の葡萄で、もう1つは1971年に最初に植樹した区画の葡萄(自根)です。50%を若木の葡萄、50%をオリジナルの葡萄を使用。2/3 を全房発酵。クラッシュとピジャージュをうまく組み合わせて発酵。228L樽のバリック(30%新樽)で19ヶ月熟成。ALC 13% 。旨味満載ですが、古樹の風味を感じる落ち着いた果実味です。
サンタ・リタ・ヒルズの気候や土壌に魅了されたエティエンヌ・ド・モンティーユ氏。スパークリングには生き生きとした活気のある味わいを求めるとのこと。シャルドネとピノ・ノワールには酸とアルコール度数のバランス(酸が高く、アルコール度数が低い)を求めるとのこと。あくまでも表現するのはカリフォルニアのテロワールです。ブルゴーニュのテクニックを用いて。エステート・ヴィンヤード(上記画像)からのワインも楽しみです。残念ですが日本入荷は限られた数量です。
例のジャイアンツのジャージですが。。。今回はサインなしです。フランス人ですから(苦笑)。。。